コラム

製品×開発エピソード

Brilloブリージョシリーズ…CAD/CAM冠用材料

Developer

技術・製造本部
本部長

2014 年から保険適用となったCAD/CAM冠。
器械のデジタル化に合わせて、変化する材料開発と、今後の展開。

なぜこの製品を作ることになったのですか

歯科業界全体のデジタル化の波が大きいですね。弊社にはそれまでデジタル化に対応した商品がなかったので、Brilloを取っ掛かりとして飛躍したいという思いがありました。

開発から商品化まで、
どのくらいの時間がかかりましたか

最初の「Brillo CAD-S block」が2014年7月に開発開始、2017年10月に商品化されました。途中2年半開発を中断していた時期があったので、実質1年3ヶ月ですね。商品化までには紆余曲折ありましたが、今では弊社の主力商品です。

Brilloという名前の由来を教えてください

研磨性に優れた商品ということで、スペイン語で「輝き」を意味するBrilloがいいと、弊社の社員が命名してくれました。

「Brillo CAD-S block」と
「Brillo CAD-PREMIUM block」はどちらも
小臼歯用とのことですが、何か違うのでしょうか

「Brillo CAD-PREMIUM block」の方がより強度が高くなっています。
同じ小臼歯の被せ物でも、保険上の区分が2つに分けられるため、2種類の材料で棲み分けしています。

商品化するにあたり
苦労した点を教えてください

弊社はCAD/CAM冠用材料に関しては後発メーカーだったため、マーケットシェアを取るためには先発メーカーにない特徴を付与する必要がありました。そこで他社の商品を徹底的に分析し、機械で削り出した後の研磨に時間がかかることがわかったので、じゃあ研磨性に優れた商品にしよう、というコンセプトで開発にとりかかりました。しかし研磨性と強度はトレードオフの関係にあるため、強度を維持しながら研磨性を上げるための材料の配合に非常に時間を要しました。

お客様からの反響はいかがでしたか

実際に「研磨しやすい」とのお声を多数いただきました。コンセプト通りのものが作れたのだとわかった時は本当にうれしかったですね。たとえ後発メーカーであっても、強い信念を持って作り上げた商品というのは、ちゃんと世に出て評価されるのだと実感しました。

この商品を使うことで、
歯科技工士にはどんなメリットがありますか

研磨に要する時間が短くて済むので、作業時間の短縮につながると思います。
歯科技工士さんというのは結構大変なお仕事で、皆さん朝早くから夜遅くまで働いておられる。中でも研磨は避けて通れない作業なので、Brilloを使っていただくことで少しでも負担の軽減につなげられればと考えています。

今後の商品の展開予定を教えてください

Brilloは保険適用の材料で作られていますが、自費診療で使われるジルコニアという材料を使った商品も発売予定です。またデジタル関連のほかの商品としては、3Dプリンターも開発を進めています。
現在、日本の歯科技工士の半数以上が50歳を越えていて、新たな担い手も減っているそうです。一方で患者の数は減っていないので、デジタルで作業効率を上げていくことが必須となっています。しかしデジタル化が進む詰め物や被せ物に対し、入れ歯はまだまだアナログから移行できていません。今後我々が入れ歯の領域でどんな提案をしていけるのかは大きな課題のひとつです。

最後にひと言お願いします

開発って、100個手を打っても実際に当たるのは10個以下だと思うんですよ。それでも腐らずに、失敗したらどこが悪かったのか、きちんと考えてから前に進まないといいものはできないと思っています。それとやはり、お客様の悩みや要望をしっかり吸い上げた上でサービスを提供していかないと、開発本位の製品は絶対に売れないと肝に銘じています。

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